鎌倉市役所移転問題まとめ:曇りなき眼で考える

9月1日発行の「広報かまくら」にて、深沢地区への移転新築をベースに検討が進められている鎌倉市役所本庁舎について、最新状況の共有がありました。

なになに、ビジョンは「コンパクトな本庁舎」。
新しい市役所の延べ床面積は25,000平方メートルを上限にすると、ほえー。

街中の掲示板などで「鎌倉市役所移転問題に物申す!」的なポスターを何度か見たことはあったのですが、自分なりの状況把握と意見形成ができておらず、いい機会なので色々と調べてみました。

結論から言うと、そんな大きな市役所(それも深沢という微妙なアクセスのところに)は不要かな、です。

現在の状況について

産経新聞さんのこちらの記事がよく纏められていると思いますが、要はまだ何も決まっていません、正式には

市役所移転については条例制定が必要、行政側のプラン作成に少なくともあと3年はかかる、そして3年後ということは次回の市長・市議会議員選挙の時期とかぶるということで、こんなに争点がはっきりしている選挙なんて初めてなので今から楽しみです、きゃっほい!

ちなみに新しい本庁舎の開庁は早くて2028年とのこと。

ちなみにちなみに、現在のかまくら市庁舎面積は支所など全て含めても15,443平方メートル・・・って、あれっ。
コンパクトな市庁舎とのことでしたが、延べ床面積は現状より約10,000平方メートル増やす方向で検討されているんですね。

根底にある考え方は真っ当

市役所移転検討の前提になっていると思われる、市役所がまとめた公共施設再編計画(ダイジェスト版の前半後半)を拝読する限り、至極もっともな検討をされていらっしゃいます。

ダイジェスト版と言っても長いので以下、ざっくり書くとこんなとこかと。

  • 今後見込まれる人口減少・高齢化による税収減
  • 市が抱えるインフラ全体で進行する老朽化と想定される維持コストの増大
  • 上記を踏まえ、既存施設の統廃合による効率化を進める

依存、ありません!
大いに進めてください。

市役所に関する検討となるとツッコミどころ満載

いろいろとあるのですが、これが一番問題かと。

市役所本庁舎に必要とされる延べ床面積の算出方法がかなり乱暴です。

もしお時間あればこちらの資料のページ20から29まで、目を通してみてくださいませ。

ちなみにこの数字を踏まえて色々な検討(既存設備の活用か移転新築か、などなど)がなされているので、かなり重要な数字です。

で、その算出方法なのですが、うーん。

色々やってらっしゃるのですが、端的にいうと他の自治体事例との比較しかしてないんですよね。

たとえば将来の市場規模予測でも不動産鑑定でもなんでもいいのですが、何かキモとなる数値を求めたい時って基本一つの手法だけに頼るということは決してなく、例えば市場予測だったら需要サイドならびに供給サイドの視点から試算したり、不動産鑑定手法だったら原価積算法、類似取引事例比較法、収益還元法の3手法から得られた数値を比較検討するなど、とにかく複数の全く異なる視点のアプローチを採用してもっともらしい数値を得るのがセオリーです。

鎌倉市の試算方法は一見4つの手法を取っているように見えるのですが、その4つとも結局最後に他自治体事例との回帰分析やら職員数・人口規模観点での比較をしているため、根本的には同じ手法と言えます。

なので「他の自治体が最近作った市庁舎はどれも広くて新しいから、うちも同じようにしたい」程度の検討でしかなくて、こんな10ページも割かなくていいわけですよ。
一般企業だったら「お前のハナシ長い」、一般家庭だったら「よそはよそ、うちはうち。つまんないこと言ってないで早くご飯食べちゃいなさい」で一蹴されちゃうレベルですよ。

しかもその比較の際の根拠・前提条件が、鎌倉市の現在(2015年時点)の市役所職員数だったり、2025年時点の想定人口だったりと、いやいや開庁は2028年だし、しかも人口はどんどん減っていくことが予想されているわけだし(下記グラフ参照、スケールに注意)・・・えっまじでなんで?

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それとも人口はそんなに減らないはずだ、なんて考えがあるんかしら・・・。

はっ!

まさか、この21世紀にまさかまさかとは思いますが、深沢に市役所を移転すれば、未だ構想段階のJR東海道線の村岡新駅(市役所移転候補地の深沢から1キロほど離れたところ、藤沢市内)が進展して、駅ができるんだったら住宅需要が生まれて、深沢に高層マンションが立って、人口が増えて・・・なんて真面目に考えているわけじゃないですよね。

市政はシムシティじゃねっつの。

じゃあどうしたらいいんですか(涙)

まずは純粋な積み上げで延べ床面積を試算すべきかと。

ただそのためには、現在の市役所サービスの棚卸しをし、今後の人口動態の変化を踏まえつつ、どのサービスが今後も必要でどのサービスはやめるべきか、どんなサービスが新たに必要となるか、サービスの提供手段はどうあるべきか(役所などハコがなければだめなのか、それ以外の手段があるのか)などを最新の技術動向など踏まえて検討して・・・と思ったら、それ的なことを今からやるみたいですね。

ただコンペに参加したベンダーの顔ぶれを見ていると、結局現在提供しているサービスにどうベンダーがもつソリューションを当てはめていくかっていう浅い仕事で終わりそうな感じがします、ドキドキ・・・。

最後に

そもそもでみなさん、市役所ってそんな頻繁に行きます?
私、どうだろう。
1年に1回も行かない。

ただ思うのは、人口減といっても高齢化は進行するわけで、特にご高齢の住民向けのサービス需要はどんどん増えていくのかなと。

しかしながらご高齢なだけに、市役所に来て頂くというよりは、市役所職員が出向いて現地で対応するみたいな、ハコ(ハード)よりはヒト(ソフト)面での対応がますます重要になってくるんじゃないかなと考えます。

となると、使われるかどうかもわからない市民交流スペースだの防災機能があるような、大きな市庁舎(しかもアクセスが微妙な深沢に・・・)、いらないんじゃないかなあと。

かなりつまらない記事になってしまいました。

それもこれもですね、要は税収が減らないというか、増えればいいわけですよ。
次回というかいつか、この点を考えてみたいと思います。

それではまたー!